ジ・アッタスの「5X」にプロが惚れた
カスタムシャフトは、多くの場合フレックスはもちろん、重量帯も選べる。人気のある60グラムを中心に、70グラム、50グラム、最近では40グラム台を選べるものも増えてきた。
ただ、ゴルフメディアでシャフトを評価する場合は、もっとも代表的な「60グラム台のSシャフト」だけを試打するケースがほとんどだ。

そんな中、昨年ちょっと珍しい試打を行なった。マミヤの人気シャフトの10代目「ジ・アッタス」の全重量帯の、複数フレックスを試打するというものだ。
プロゴルファー・中村修をテスターに、1日かけて40グラム台から70グラム台のシャフトを同じヘッドで打って打って打ちまくった。
そして、様々なスペックの試打を終えた中村が、ポツリとつぶやいた。
「5X、めちゃくちゃいいな……」
5X、すなわち50グラム台のXシャフト。この言葉から、みんなのゴルフダイジェスト商品開発部第三弾はスタートした。
50グラム台と軽量であることでヘッドスピードを上げ、Xと締まったフレックスであることで、頼りなさを解消し、適度なしなりを感じながらしっかり振り切って飛ばすことができる。それが、全重量帯を試打して見つけた“最強スペック”ジ・アッタス5Xの特徴だ。粘って、走る。その個性は唯一無二と言っていい。
最近は“軽くて硬い”シャフトが静かなブームを見せている。以前は軽い=頼りないというイメージがあり、ヘッドスピードのあるゴルファーから敬遠されていたが、
昨今のカーボン素材、シャフト製造技術の飛躍的進歩により、軽くても粘るシャフト、軽くても叩けるシャフトが出てきている。軽い分ヘッドスピードが上がり、飛ばせるため、PGAツアーの選手なども軽量シャフトを選ぶ傾向が強まっているのだ。
そんな中で実施した「単一シャフトの複数スペック試打」でプロゴルファー・中村が出会ってしまったのがジ・アッタスの「5X」というわけだ。
【中村プロコメント】
「驚きました。50グラムで軽い分シャープに振れるのですが、ヘッドスピード40台後半の私が振っても頼りなさはまるでない。それでいて、
X表記でありながら実によくしなる。しなるけれども、暴れないから、方向性もいい。この“5X”の特性をマックスに活かしたドライバーを組みたい! そう思ったんです」
最高に相性のいいヘッド「GIGA HS797」
複数のヘッド候補にジ・アッタス5Xを差しまくり、試打を繰り返した結果、「このシャフトには、このヘッドの組み合わせが非常に合う」という結論が出たのが、イオンスポーツ の「GIGA HS797」だ。
GIGA HS797は、一言でいえば“異様に打感のいいヘッド”だ。シャキッとしながら柔らかい、その打感はまずもって体験してみる価値がある。性能的には見た目は小ぶりなのに直進性が高いのが最大の特徴。左へのミスが多いゴルファー、あるいは球が左右にバラつくゴルファーにとっては、この上なく安心して叩いていけるヘッドだ。

チタンにシリコンを配合した「シリコンチタン」をフェース素材として採用したこのヘッド、一回打てばわかるが異様なまでに打感がいい。
そして、ヘッド体積は460ccなのだが構えるとすごく“小顔”に見える。要するにすごく顔がいい。
打感と顔は一発OK。問題はその性能だが、これがまた実にいい。そして、ジ・アッタス5Xによくマッチするのだ。
【中村プロコメント】
「ジ・アッタスは“粘走り(ねばしり)”といって、“粘る”と“走る”両方のフィーリングが得られるという特徴があるシャフト。
暴れないのに走ってくれるシャフトには、球筋を安定させるスタビリティ系のヘッドが合うはず。そう思って投影面積の大きいヘッドばかりをテストしていたのですが、
どうも『これがベスト!』と思えなかった。ところが、HS797をテストしたら、一発でバチッとハマったんです」

HS797の重心設計上の特徴は、身も蓋もない言い方だが「左にも右にも行かない」点にある。とくに、叩いても左に行かない安心感は出色だ。
そして、叩いても左に行かないヘッドの多くは、「左には行かないが、右には行く」要するにつかまりを犠牲にしている場合があるが、このヘッドの場合「右にも行きにくい」。
美しく磨かれた岩石のような塊(かたまり)感のある形状からは想像できないが、慣性モーメントの大きいスタビリティ系ドライバーを打ったような弾道が出るのだ。
【中村プロコメント】
「ヘッドの性能ももちろんですが、シャフトとの相性も大きい。これがもっと走るシャフトだったら、
インパクトでフェースがターンしすぎて左に行くこともあるかもしれませんが、ジ・アッタス5Xは最後の最後で粘ってくれるので、フェース面をキープしたままインパクトしやすい。
それでいて、基本的には走るので、右に滑る球も最大限抑えてくれます。かなりいいですよ、この組み合わせ」

さて、ではどんなゴルファーに合うのかだが、まず開発者の中村はヘッドスピード40m/秒台後半のホールによってドローも打つフェードヒッター。彼が打ってもまったく問題はないが、開発のコンセプトとしてはヘッドスピード42m/秒を中心に考えた。
【中村プロコメント】
「ヘッドスピード42前後で、球筋はフック系。そしてある程度長いゴルフ歴がある。これがベストのプロフィールですね。
ヘッドスピードが40未満だと少々厳しいかもしれないですし、50を超えると流石に物足りないかもしれない。そして、初心者には向きません。
どちらかといえばフック系の持ち球の人に合うと思いますが、スライス系の人でも思い切りつかまえながら打ちたいタイプにはビタッとハマると思います」