話題のカスタムクラブをレッスンプロ・森山錬がチェック。今回は、HARAKEN株式会社のドゥーカス リローテッド+Mアイアンを試打。
ドゥーカス リローテッド+Mアイアンは、小ぶりなヘッド形状で、素材は軟鉄鍛造のマッスルバックアイアンだ。そう聞くと、さぞや難しいんだろうと思い尻込みする人も多いだろうが、なんとこのアイアン、フェース全面にスコアラインが施された「フルスコアライン」を採用。
一定のスピン量を確保できるという利点からウェッジでは見かけることも多い「フルスコアライン」だが、アイアンも「フルスコアライン」にすることで、アマチュアにも扱いやすく、ミスショットに強いクラブになるとのことだが……。
果たしてどんなアイアンに仕上がっているのか? 森山錬プロにじっくり検証してもらった。まずは見た目の印象から。
「まずヘッドの大きさですけど、かなり小ぶりですね。あとはやっぱりトゥまで伸びたスコアラインが印象的です。スコアラインがトゥまで伸びていることによって、ヘッドは小ぶりだけど、使えるフェース面が大きく感じるので安心感があるというのが構えた時の印象です」(森山錬プロ:以下同)。
では、試打に入ろう。ロフト角28度の6番アイアンを打ってもらった。
■1球目
ボールスピード:53m/s、打ち出し角:17.4度、スピン量:3948rpm、キャリー:180ヤード、トータル:195ヤード、最高高度:30.5ヤード、落下角度:43.5度、球筋:ストレート
「ヘッドの大きさからすると、一昔前のペラペラのマッスルバックのアイアンみたいに、もっと球がつかまらないし、上がらないかなと思ったんですけど、普通に球もつかまるし、ボールも上がりましたね」
■2球目
ボールスピード:53m/s、打ち出し角:17.7度、スピン量:4624rpm、キャリー:176ヤード、トータル:190ヤード、最高高度:31.7ヤード、落下角度:45.2度、弾道:ストレート
「これだけ小ぶりなヘッドなのに、これだけ球が上がりやすいというのは、現代のテクノロジーが込められたマッスルバックアイアンって感じがします」
ドライバーのヘッドスピード42m/sくらいの一般ゴルファーが6番アイアンを打つと、最高高度はおおよそ26ヤードが標準で、これがPGAツアープロの場合は30ヤードくらいだと言われる。その意味では、1球目が30.5ヤード、2球目は31.7ヤードと充分に球は上がる。
さらに、森山プロが指摘したのは単なるマッスルバックアイアン以上の操作性の良さだ。
「フェースの開閉がかなりやりやすいので、フェードやフックなどのインテンショナルに球を打つ際のヘッドの操作性はかなり高いと思います。今、2球ともストレートボールを打ったんですけど、特にフェードボールが打ちやすいんじゃないかと思いますので、次はフェード打ってみます。」
■3球目
ボールスピード:55m/s、打ち出し角:17.9度、スピン量:5248rpm、キャリー:178ヤード、トータル:190ヤード、最高高度:34.3ヤード、落下角度:47.1度、弾道:フェード
言葉通りに完璧なフェードを打ったが、それにしてなんでこのリローテッド+Mアイアンはフェードが打ちやすいと分かったのか。
「このアイアンはフェースを開いた時に、先端までスコアラインが切ってあるからトゥが強調されて、丸く見えるんです。丸く見えるとフェースを開いたりしたりしてもまったく違和感が出てこないんですよね。そこは試してみていただきたいです」
さらに森山プロはミスショットの許容性も強く感じたという。
「ソールのバックフェース側が少し削られているので、ヘッドの抜けが凄く良いです。これはラフや硬めのフェアウェイとかからで威力を発揮すると思いました。あと深いラフでは芝の抵抗に負けてフェースが開き気味に当たることが多いですが、その場合でもトゥ側までスコアラインが刻まれているのでスピンレスのドロップによるグリーンオーバーといったミスをカバーしてくれることも期待できるんじゃないかなと思います。今日試打したのは6番アイアンですが、8番・9番などのショートアイアンは、特にその恩恵を受けやすいと思いますね。一度打ってみて、この驚きを皆さんにも体感してもらいたいです」
アイアンのフルスコアライン、どうやらしっかりと「意味」があるようだ。