マーク金井考案「ハイロフトパター3本セット」とは?
通販事業に携わっていると、「これは売れそうだな」と思う商品がある一方で、「これは売れるかどうか正直さっぱりわからない!」という商品もないとは言えない。たとえば、マーク金井さん考案の「ハイロフトパター3本セット」は失礼ながらまさしく後者。だって前例がないわけなんですよパターのセット販売。
ハイロフトパター3本セットは、ロフト5度、7度、9度と通常よりもロフトが寝たパターのセット。
「パターにもドライバーなど他のクラブ同様『適正ロフト』がある」「ロフトがあったほうが距離感を出しやすい」「グリーンの状態によってパターを使い分けるのはアリ」「異なるロフトのパターを使うことで、調子を整えることができる」といったマークさんの意見には「なるほど」と納得していたのだが、果たして世のゴルファーの評価は……? というと、これが静かなヒットとなっているのだ。
だからというわけでもないのだが、この前代未聞のパター3本セット、ゴルファーとして試さずにはいられない。試打用クラブを抱えてゴルフダイジェスト社のある新橋から電車1本乗り換えなし、ほんの30分ほどで行ける川口市浮間ゴルフ場に向かった。浮間ゴルフ場は最寄りの川口駅からも徒歩圏内なので、ドアツードアで1時間かからないのだ。
マーク金井考案「ハイロフトパター3本セット」をコースで構えてみた
さて、練習グリーンに持ち込んで、さっそく3本を順に構えてみる。まずは5度だが、これは普通にまったく違和感なく構えられる。パターのロフトは3度くらいが標準で、5度はそこから大きく変わらない。この「ハイロフトパター3本セット」の形状はオーソドックスでキレイなブレードタイプで構えやすいこともあり「言われてみればフェース面がよく見えるかな」くらい。
じゃあ、と9度を構えてみた。うーん面白い、これは明らかにフェース面がしっかり見える。これが心理的には意外と大きく作用するようで、なんとなくアイアンというか、ショット用クラブの印象が漂ってきて、少しハンドファーストに構えてみたくなる。
ゴルフでは「道具が技術をつくる」なんてことがまま言われるが、このようにクラブの見た目がゴルファーの心理に作用して、アドレスやストロークにまで影響を及ぼすことがあるんだなあと、妙に納得がいってしまう。面白いなあ。
7度はどうかというと、当たり前だが5度と9度の間の印象で、どちらかというと9度に近い印象がありる。構えた瞬間に、道具への感度の高い人なら「これ、普通のパターと違うね」と気がつきそうな感じだ。
マーク金井考案「ハイロフトパター3本セット」を打ってみた
9度を打ってみて驚いた。間違いなくパターではあるのだが、ボールがフェースに食いつく感じをかなり強く感じる。マークさん言わく、ロフトが寝ているとボールがフェースに乗り、そのことでタッチを合わせやすくなるのだそうだ。「乗ってる」感じは私の鈍感ハンドでは感じ取れなかったが、食いつくような打感は感じることができる。雑にいうと、打感をすごくやわらかく感じる。
5度はというと、9度を打ったあとだと打感が「弾く」印象になる。打った瞬間にボールが前に進む感覚があり、ものすごく転がりが良い感じ。9度の一瞬食いついて→その後ボールが転がっていく印象と真逆の感じだ。ロフトでこんなに違うとは……目からウロコがポロポロ落ちる。
構えたときの印象同様、7度は性能的にも5度と9度の中間地点の印象だ。適度に食いつき、適度に転がってくれる優等生タイプ。SNS担当者でもあるゴルフ記者・S子は「私は7度が好きです」と言っていたが、たしかに個性がまろやかで使いやすいのは7度かもしれないなと私も思った。
パターに「番手」があったなら
個人的には「5度」と「9度」のロフト4度の違いで性能の印象がガラッと変わるのが面白いと感じた。同じパターでも、いわば“1番手”違うのだ。ロフト3度が標準とすれば、7度はさしずめ「2番パター」。9度は「2.5番パター」といったところか。ウェッジでも52度と56度じゃ大違いだもんなあ。
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5番アイアンより6番アイアン。7番よりも8番。ロフトは寝ているほどクラブは扱いやすくなるが、実際に転がしてみた印象としてパターにも同じことが言えそうだ。私は9度が気に入ってじっくり使ってみたのだが、ロフトがあると不思議なもので「パンチが入る」感じが出ない。それがなぜなのか、技術的なことはわからないが、ジャストタッチでコロンと流し込むようなタッチに自然と変化してくるのだ。いいなこれ。
実際にコースでも使ってみたが、その印象は変わらなかった。グリーン上でカップに向けてパスを出しているような感覚でプレーでき、縦の距離や方向の「どミス」が出にくい。
バンカーからも使ってみた↓
じゃあ9度がオススメなのか? と言われればそんなこともない。S子が7度を気に入ったように、通常のパターよりも“半番手”ロフトが寝ている5度を気に入る人も間違いなくいると思う。サンドウェッジのロフトが54度が好きという人もいれば、58度一択という人もいるように(私は56度愛好家だ)、つまりパターも“ロフトを選べることはメリットがある”ということだと思う。その発想はなかったわ。
グリーンのコンディションはコースや季節によって大きく変化するし、我らゴルファーのパッティングのコンディションも知らない間に変化する。その変化に備えて「3度」以外の選択肢を持っておくのは、この先長く続く僕らのゴルフライフのタメになる、かも。