狭いパー4でのティーショット、距離のあるホールのセカンドショットや同じく距離のあるパー3のティーショットなど“飛距離を稼ぎたい”ときに武器になるのがフェアウェイウッド。3番ウッドのロフトを1.5度立てて、13.5度。いわば2番ウッド(かつては、「ブラッシー」といっていました)なみにしたらどんな球が打てるのか? アマチュアゴルファーが実験してみた。
突然ですが、みなさんは「2番ウッド」を打ったことがありますか? ロフトでいうと13度前後のフェアウェイウッド。かつて存在し、今ではほぼ絶滅状態の番手です。飛距離は出そうだけど、スプーンでさえ難しいのに、さらにロフトが立ったクラブはさすがに……と打つ前から尻込みしてしまいますよね。
と、こんな「前振り」をしておきながら、2番ウッドを試打したわけではありません。3番ウッドのロフトを1.5度立てて、13.5度と2番ウッドなみにして打ったらどうなるか? を実験してみたのです。
実験に使用したのは大阪のカスタムクラブメーカー・ジャスティックの「プロシード ダブルR SFフェアウェイウッド」の3番ウッド。
ロフト15度のクラブですが、ネックに調整機能がつけられていて、13.5〜16.5度にロフトを変えることができます。そして、13.5度に立てて使うプロや上級者がいるらしいのです。
というわけで、まずは15度の状態で試打してみると、DAT55素材を使っているチタンフェースだけに、非常に初速性能が高く、ミート率1.5前後の数字を連発。飛距離もドロー系の弾道で240ヤードくらい出ています。
さらに「なるほど」と思ったのは打ち出し角度とスピン量の数値。打ち出し角は17-18度と高く、スピン量は3200回転前後とやや多め。打ち出し角はもう少し低くていいし、スピン量はもう少し少なくても大丈夫。これならロフトを1.5度立てて、“ブラッシー(2番ウッド)化”ができるかもしれません。
というわけでレンチでカチャカチャ。ロフトを1.5度立てて、13.5度にしてみました。
構えてみると、やはりフェースの見え方が少なく(フェース面が見えにくく)なるためかなり締まった印象に変化します。なんとなく15度のときよりもヘッド全体が小ぶりに見えるような……すでに違うクラブを構えている気分です。
さて、ティーショットを想定して軽くティーアップして打ってみましたが、驚きました。飛距離は軽々と249ヤード! 予想通り、打ち出し角度が13-14度くらいに下がり、スピン量が2600回転前後に。めっちゃくちゃ強弾道で前に前に突き進みます。
最高飛距離は258ヤードという異次元の数値。ドライバーでもなかなか出ない数字です。とはいえ、これはティーアップしての数字。フェアウェイウッドである以上、地面から打った飛距離も重要です。というわけで、ティーアップせずに打ってみました。
この結果がまた面白かったんです。打ち出し角はさらに下がって9度前後と超低弾道。ですが、飛距離は240ヤード台と十分すぎるほど出ています。ランの割合が大幅に増えて、コロコロ転がる弾道になっているんです。
これはこれで全然アリ。冬のラウンドや強風下のラウンドではむしろこの弾道が武器になりそうです。というわけで「2番ウッド、大いにありだな……」というのが今回の結論。
2番ウッドが市場に出回っていたころは、チタンフェースのフェアウェイウッドは一般的でなかったはず。しかし、重量を取られるフェース面に軽いチタン素材を使うことで、現代のフェアウェイウッドは圧倒的に重心を低く、深くすることができます。
結果、難しい2番ウッドもこれだけ打ちやすくなったのかもしれません。ドライバーが絶不調のときや、強風の日はもちろん、1本入れておくとかなり強力な武器になりそうです。
ちなみにこの「プロシード ダブルR SFフェアウェイウッド」ですが、ロフトを16.5度に調整すると、つかまって球がよく上がるバフィ(4番ウッド)的性能に変化します。オススメ。